「…っ!…ローランサン!」
 
 
 闇の中でその震える声を聞き、驚いて目を開いたものの、行き成り差し込んでくる太陽の光が異様なほど眩しすぎて、その勢いのまま目を堅く瞑った。すると自分の上に人が覆いかぶさる気配と頬に水滴のようなものが落ちたことを感じ、今度はゆっくりと瞼を押し上げた。
 
 
「ロ、…っサン…よか、よかっ、た」
 
「イヴェー…ル?」
 
 
 銀色のふわりと柔らかい前髪の奥で、瞳が零れ落ちてしまうのではないかというほど目を見開き、そこに今度は本当にもう零れ落ちてしまっている涙をいっぱいに溜めた幼い少年が途切れ途切れの言葉を吐いた。そこで、さっき頬に落ちてきた水滴は彼の目から零れた涙であり、自分は地面に仰向けに寝転がっていることを、何故か割れるような頭痛のする頭で理解する。
 ああ、ここはいつも遊んでいる林の中で、また今日も同じように遊んでいて。
 
 
「ご、めんっ、ごめん、ごめんね、僕っ…が、」
 
 
 
 
 
 木に登っていたのだ。太陽に近づくのが面白くて暖かくて、夢中になる。てっぺんまで行けばきっともっと近付けて、この木が成長すればもっともっと近付けて、もう俺達が大人になるころには太陽に手が届くのだ。それからその下で、未だに地に足をつけて怖がっていたイヴェールを見て、少しからかってやった。きっと、自分に付いてこないイヴェールに焦れた腹癒せに。
 
 
 
 
 
 
「酷いことして、ローランサンっ、怪我して…っ」
 
「イヴェール、おい、そんな泣くなよ」
 
「ごめんね、ごめんねっ、僕、が、木を揺らした、…から」
 
 
 身を起こすと頭にも腕にも膝にも痛みを感じた。腰の辺りに馬乗りになっていたイヴェールが、自分の胸に頭を押し込んで、その手を背中に回して強く強く自分を抱きしめる。
 しかし、彼のか細い腕ではその強さも自分にとってはとても非力なもので、抱きしめられた痛みよりも、地面に自分身体を支えるためについた手に砂利が食い込む方がよっぽど痛かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
(あのころは多分純粋すぎて)
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彼らは幼馴染。
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