小刻みに震える肩を押さえつける手に力を込め唇を重く重ね、そのまま舌を捻り込んでも、未だに自分のことを必死に拒もうとする態度に苛立ち、その小さな下唇に思い切り歯を立てた。びくり、と一度大きく身体を跳ね上げるように反応した後、自分のことを突き放そうとしていた細い腕から力がすっと抜けていくのを感じ、それが嬉しくてたまらなくなって、もう一度唇を重ねた。わざと音を立てるように、もうさほど抵抗しなくなった舌を絡ませ、口の中に広がる血の味を深く味わう。
 そっと唇を離し、イヴェールの顔をじっと見つめてやり、頑なに閉じられている瞳が開かれるのを待った。肺に酸素を送り込もうと肩を上下させ荒く呼吸しながらも、ゆっくりと開いた瞼の奥は濡れている。濡れていた右目の赤い色が宝石のように美しく、そこに自分の姿が映っていることがどうしようもないくらいに嬉しいのに、そのすぐ横では、漆黒の闇のような深い青色が怯えながらも睨むように自分の姿を映し出すのである。

 


 嫌いなのだ。イヴェールが愛おしくて、その身体の全てが愛おしいのに、その深い青色の左目だけがどうしても憎たらしいのである。何度、その汚れた死の瞳をえぐり取り出そうかと考えたが、しかしもしそんなことしたら双子の姫君たちに怒られてしまうだろうし、それに君が僕を片目でしか見れなくなってしまうだろう。

 

 左目の瞼の上にそっと唇を落とすと、その口から小さい悲鳴のように「嫌、だ」と吐息を漏らし、とうとう涙を流すその姿までも愛おしくて、壊れやすい宝物のようにその身体を抱きしめた。

 

 

 

(僕のものになるまでは、どうか壊れてしまわぬように)
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朝はヤンデレで夜が嫌いだといい。

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